ストーマ装具をつけている時、急に面板が剥がれてしまうと大変です。
漏れてしまう心配がありますし、ストーマ装具の交換も必要です。面板は、一度剥がれてしまうと再び貼り付けることができないので、ストーマ装具の交換回数が増えると経済的な心配も出てきます。
ここでは、面板をしっかりと貼り付けるために、ストーマ装具の貼り方のポイントを解説し、面板が剥がれやすくなる原因とその対策を説明します。
テープで固定できる?
こんな時、面板の周りにテープを貼って、剥がれないように補強しようと思われる方がいらっしゃるかもしれません。ここで気をつけたいのは、面板はパウチの重さを支えているという点です。テープの粘着力は、パウチの重さを支えられるほど強いのでしょうか?
テープと面板を粘着力で比較すると、テープには面板ほどの粘着力はありません。粘着力が強いテープもありますが、そういったテープは皮膚に負担がかかりやすく、継続的に使用することは難しい場合が多いでしょう。
このように考えますと、面板の粘着力が弱くなっている時に、パウチの重さを支える面板をテープで固定することは難しいと言えます。
面板が水分を吸収
ちゃんと貼り付いていた面板が、急に剥がれてしまうのはどうしてなのでしょうか。
面板は、一定期間貼付していると、皮膚保護剤が溶けたり白くふやけていきます。これは、面板と皮膚の間に水分や排泄物が長時間とどまらないよう、皮膚保護剤が水分を吸収して皮膚を保護しているためです。皮膚保護剤は、水分を吸収して体積が大きくなり、皮膚と面板の間の隙間を埋めて、それ以上水分や排泄物が入らないように防ぎます。水分を吸収し続けた皮膚保護剤は、最終的には溶けたり、ふやけたりして、粘着力はなくなります。
面板と皮膚の間にすき間がない場合は、皮膚と面板の間に排泄物が入ることはないため、皮膚保護剤が水分を吸収していくスピードはゆっくりです。でも、しわやくぼみがありそこに排泄物が入り込むと、皮膚保護剤が溶ける部分が広がり、面板の粘着力も弱くなっていきます。ですので、面板と皮膚の間に隙間を作らないように面板を貼ることが大切になります。
貼り方のポイント
剥がれる原因と対策
面板を貼る部分に水分がある
ストーマ装具を貼る皮膚が濡れていると、面板の粘着が弱くなります。ストーマの周囲の肌に軽い炎症があり、滲出液が出ているような場合は、粉状の皮膚保護剤(パウダー)を使い、水分を吸収してゲル化させるとストーマ装具の装具の粘着力の低下を防ぐことができます。
粉状の皮膚保護剤(パウダー)は、大量に振りかけると、かえってストーマ装具の粘着を妨げてしまいますので、びらん部分にのみ使用するようにしてください。多めに振りかけてしまった場合は、余分な粉をしっかりと払い落としてから、ストーマ装具を装着するようにしましょう。
面板がお腹になじまない
気温の低い時期は、皮膚保護剤が固くなり貼り付きにくくなります。そんな時は、手の平で挟み少し温め、やわらかくしてから貼りましょう。また、ベルトを使うと、面板を体に密着させることができます。
面板が溶けやすくなっている
しわやくぼみのすき間に排泄物が入ると、面板の溶けが早くなります。皮膚保護剤を使ってすき間を埋めることもできますので、医療従事者の方に相談の上でご使用ください。
また、汗をかいたり排泄物の水分が多い時も、面板は溶けやすくなします。面板の溶けるスピードが速いときは、交換時期を早めると、粘着力が弱まる前に交換することができます。
面板を交換した時に、面板を裏返して溶け具合を確認しましょう。面板をカットしたところから1cm程度溶けているくらいで交換できていればOKです。
パウチが重い
パウチが重いと、面板を下方向に引っ張る力が加わりやすくなります。パウチに3分の1ほど溜まったら、トイレで排泄物を出してパウチを空にすることをおすすめします。
面板が追従しない
面板が硬すぎたり、逆に柔らかすぎたりすると、伸び縮みする皮膚の動きについていけず、端から剥がれてしまうことがあります。ストーマ装具が合っているか心配なときは、病院やストーマ外来に相談しましょう。
ストーマ外来とは
「ストーマ外来」は、人工肛門、人工膀胱を造設された方のための専門的なケアや、ストーマ全般について相談が行なえるストーマ専門の外来です。利用方法は病院によって異なるので、受診を希望する場合は、事前に問い合わせて確認しましょう。